室内から屋外へ ~ 春先のライドで気を付けること ~

最近は自転車に乗ると言っても、ほとんど部屋の中で走っているという人も多いのではないでしょうか。
少し暖かくなってきて外へ走りにいきたくなった時に向けて、春先のライドを安全に快適に楽しむために気をつけたいことを紹介。自転車専門のパーソナルトレーナーの伊藤透コーチにアドバイスをもらいました。

目次

フィジカルコンディションが変わっていることを意識しよう

春先のライドで気を付けるべき点はなんでしょうか。
室内で固定されたトレーナーの上だけで走っているのと、実際に外を走るのとでは異なる点があるはずです。

私ハシケン(右)が、伊藤透コーチ(左)へオンラインで取材を行いました

伊藤コーチ 「春先のライドで気をつけたいことは、身体の変化に合わせてライドを計画し走ることです。具体的に身体の変化に合わせるとは、まずは、現在の体力レベルに合わせた最適なペーシングを行うことです。久しぶりのロングライドは以前とはペース感覚が違っていることも多いため、ペースコントロールを意識しましょう」

春先は、現在の体力レベルに合わせたペースで走ることが第一

伊藤コーチ 「以前、『室内トレーナーを使ったダイエット』企画で紹介した一定ペースで走り続けるスキルを思い出しながら走ることがポイントです。また、久々のライドでは、フィジカル自体のコンディションも変化しています。筋力や柔軟性のレベルが変わっていれば、バイクの上での最適な身体の動かし方も変化します。以前と同じように走れるだろうという先入観で走るのではなく、今のフィットネスレベルに動きを最適化することが大事です。例えば、昨年秋には100kmのロングライドも余裕を持って走れるだけの体力があったとしても、数ヶ月走っていなければ、1回で乗れる時間(距離)も変わってきます」

冬の間、室内のローラーライドが1時間だった人が、春先にいきなり3〜4時間のロングライドに出かければ疲労レベルが高すぎます。週末にロングライドを行うのであれば、1回あたり30分ほど追加しながら、1時間、1時間30分、2時間という具合に順応させていきましょう。距離よりも時間でコントロールすることがポイントです。

室内ライドで酷使したバイクをチェックしてから走り出そう

春先のライドは怪我のリスクも高いため、いくつか注意すべき点があります。
ひとつが、バイクコントロールスキルの感覚を呼び覚まし、身につけることです。
もうひとつが、ライド前のバイクの点検です。

冬の間、室内ライドで乗っていたバイクはきちんとメンテナンスしよう

伊藤コーチ 「室内での固定ローラーばかりから実走に変わると、ペダリング以前の問題としてバイクを操縦する点で感覚が違うため注意が必要です。ブレーキングやコーナリングといった基本スキルに対して、スピードを抑え気味にして少しずつ慣らしていきましょう。そして、安全に外を走るためには、バイクの整備も欠かせません。室内ローラーでバイクに乗っていると、外とは違い無理な変速操作をすることも多いためバイクへのダメージも大きくなります。ワイヤーの延びやチェーンの摩耗具合を中心にメンテナンスしてあげましょう。室内ローラーで汗対策をしていないと、ブラケットフードの内側などハンドルまわりの固定ボルトが腐食して錆びたりしていることがあるため、注意が必要です」

春先のロングライドの前には、身体だけでなくバイクのコンディションもきちんと準備しておくことが大切です。自分自身の不注意で怪我をして病院にかかることがないように、サイクリストとしてやるべき準備をして走り出しましょう。

60〜70回転のゆっくりペダリングで感覚を呼び覚まそう

続いて、春先ロングライドの中で取り組みたい具体的なドリルについて伊藤コーチからアドバイスしてもらいます。走り方を少し工夫することで、走りのレベルを高めることができるだけでなく、メリハリのついたロングライドを楽しめるようになるでしょう。

久しぶりの外ライドでは、きれいなペダリングを心がけたい

伊藤コーチ 「室内の固定ローラーでは、どうしてもペダリングが雑になりがちです。ペダルを踏む意識が強くなり、下死点まで踏んでしまう、いわゆるスタンピング(スタンプのように真下にペダルを踏む)的なペダリングのクセがつきやすいです。そこで、春先のライドでは、ケイデンス(回転数)を意識的に落として、ペダルをきれいに回す意識を高めるドリルを取り入れてみましょう。回転数の目安は60〜70回転です」

伊藤コーチ 「固定ローラーでは、フォームが一つに固まりがちです。また室内では空気抵抗を考えることがないため、上体を起こしたフォームばかりで走ってしまいがちです。そこで、春先ライドではバイクの上で意識的にフォームを変えながら走りましょう。ダンシングを取り入れることはもちろん、同じシッティングでも骨盤の角度を前傾させてエアロフォームで走ってみたり、様々なフォームで走れるように身体を最適化していくことが大事です」

このように、身体とバイクを最適化して屋外ライドへスムーズに移行させることが春先ライドのポイントです。最後に、バイクに乗ること自体が久しぶりのようなら、一度フィッティングサービスを受けて、身体のレベルをチェックしてもらうことを検討してもよいでしょう。柔軟性や筋力レベルが変われば、かつてフィットしていたバイクポジションでは、快適に乗りこないポジションになっている可能性もあるためです。

菜の花、梅、桜。色とりどりの季節の花で楽しませてくれるサイクリングシーズンはまもなく!

今回は、室内から屋外へ移行する時期に、気をつけるべきポイントについて伊藤コーチにアドバイスしてもらいました。しばらくすれば、寒さも和らぎサイクリングにぴったりの季節がやってきます。一人ひとりが安全走行に気をつけながら、サイクルライフを楽しんでいきましょう。

●取材協力:伊藤 透さん(株式会社アイワークス 代表)
サイクリストやトライアスリートを対象にトレーニング指導を行うトレーナー。自身も海外でのロードレース活動の経験を持つ。現在は名古屋を中心にトレーニングジムやサイクリングスクールの運営を行う。
ホームページ ORCA CYCLING SCHOOL

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この記事を書いた人

橋本謙司のアバター 橋本謙司 株式会社 BIKE & RUN 代表取締役

自転車メディアの立場として活動を続ける自転車ジャーナリスト。
国内外、様々な自転車イベントを実走取材する。また、自身も強豪アマチュアレーサーとして国内外のヒルクライムやロードレースに参加し、優勝・入賞経験がある。
一方で、全国各地のサイクルツーリズムの施策のお手伝いや広報活動に取り組む。日向涼子とともに「じてんしゃと泊まる宿」を4回刊行。
スポーツサイクル全般に関わるジャーナリストとして、専門誌や専門WEB媒体での撮影・ライティングを行いながら、ムービー制作(動画撮影・動画編集)も手掛ける。

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