室内トレーナーを使ったダイエット

冬が近づくにつれ、自転車に乗る機会は減る人がほとんどではないでしょうか。そして気温の低下とともに、「体重の増加」「身体の不調」「筋力の低下」「実走感覚の低下」に悩まされるサイクリストが増えてきます。
そこで今回は、オフシーズンにできる自転車スキルアップ企画をお送りします!

目次

「サイクリストの太る(肥満)」は一般の太ると違う

厚生労働省が定める肥満とは「体重が多いだけではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態」と定められています。肥満になると糖尿病や高血圧症など生活習慣病の原因になるため、肥満予防に努めることは健康的な生活を送るうえで大切なことです。

ただし、普段から定期的に自転車に乗っている”サイクリスト的な肥満”は一般的な基準とは異なっているようです。ご自身の経験を踏まえ、サイクリストのパーソナルトレーナーを得意とされる伊藤透さんは次のように話します。

伊藤コーチ「サイクリスト的に太っている状態とはあくまで私の基準でサイクリストそれぞれの健康状態によるとは思いますが、男性で体脂肪率20%、女性だと25%以上だと考えています。その状態だとお腹が邪魔でペダリングがしにくく、サイクルジャージを着てもムチムチな状態になります。以前、筋肉量を増やしたくて、この基準近くまで10㎏以上増量したことがありましたが、かなり自転車に乗りにくい状況でした。サイクリスト的には、ある程度しまっていた方が見た目はもちろん良くなりますし、乗った時にもスムーズな走りができると思います」

今の季節に取り組むなら室内トレーニングがおすすめ

伊藤コーチ「サイクリストの多くが、冬に乗る時間が減って太ってしまう人が多いですね。寒くて外で走るのが億劫な人、春に向けて身体を絞りたい人にはローラー台を使用した室内トレーニングをおすすめしています。」

ローラー台を使用した室内トレーニングは、自転車選手が競技力アップのために行うもののイメージがありますが、近ごろはネットに接続できるスマートトレーナーが登場し一般のサイクリストにも広がっています。

室内トレーニングは交通事情や天候に影響を受けないため、走ることに集中することができます。今回は効率的にやせるためのトレーニングメニューや方法を伊藤コーチに指導していただきましょう!

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トレーニングを効率的にするためには?

伊藤コーチ「できるだけ効率的やせるためのトレーニングを行うためには運動強度が大切になります。自転車のトレーニングではパワー(W数)や心拍数など強度を数値化して利用することがありますが、今回は『RPE(主観的運動強度)」という目安を使ってトレーニングしていきます。この数値は運動時の疲労度やキツさを0から10までの数値で表したものです。0は何も運動していない状態、10は非常にキツい状態を表します」

RPE(主観的運動強度)の目安
出典:日本緩和医療学会

「RPEはあくまで主観的なものなので、数値間の感じ方にはかなりばらつきがありますが、計測するのに特別な計器もいらないので初心者の方でも簡単に取り入れることができます。ただ、疲労感などを計器に頼ることなく主観的、感覚的に把握することはどんなレベルのサイクリストにも必要なので、初心者以外の方もぜひ取り入れてみてください。ではRPEを使った室内トレーニングのメニューを見ていきましょう!」

長距離を走るペース感覚も養うメニュー

伊藤コーチ「今回は2種類のメニューを準備しました。時間は30分くらい、だいたい300~400kcalを消費できます。まず、一定ペースで走り続ける感覚を養うメニューから見ていきましょう。」

伊藤コーチ「ウォーミングアップを『2』の強度で5分行い、メインのトレーニングを『4』で20分、クールダウンを『2』で5分、合計30分のメニューは初心者の方でも問題なくできると思います。ポイントはメインメニューの20分です。基本的にサイクリングを行う時には『どれだけの時間、どれだけ身体を動かせるか』が大切になります。今回のメニューがこなせるということは、『ギリギリ会話できるペース』なら20分の間走り続けられるということです。これを30分、40分と増やしていくことで、このペースでより長い距離を走れるようになっていきます。」

「注意してほしいのは速すぎず、遅すぎず一定ペースを保つことです。はじめのうちはペース感がつかめず、前半が速すぎて後半までもたないこともあるかもしれないですが、次に生かすことができればいい失敗にすることができます。走り切れなかったキツさの感覚をデータとして蓄積していくことで、春からのロングライドやイベントなどに生かしていけるでしょう」

「頑張ると休む」を繰り返すトレーニングメニュー

伊藤コーチ「次のメニューはいわゆるインターバルトレーニングと言われているメニューです。これを行うことで簡単に言えば、心肺機能と脚力を同時に向上させます。頑張ると休むを繰り返すので、一定ペースで走るトレーニングよりも飽きずに取り組むこともできるでしょう。

伊藤コーチ「ポイントは頑張ると休むの繰り返しの部分です。『頑張る』部分は主観的運動強度の5~6あたり、『ギリギリ会話ができない』強度で行います。3セット繰り返しますが、低すぎず高すぎない強度を保って行いましょう! 一定ペースのメニューに比べるとかなりキツいメニューにはなりますが、消費カロリーは同じくらい。でも脂質代謝効果だけではなく、心肺機能も伸ばしていける効果もあるメニューです」

これらメニューでどれだけのダイエット効果があるか?

さてここまで2つのメニューを紹介しましたが、1か月続けたとしてどれくらいのダイエット効果があるのでしょうか?

伊藤コーチ「疲労をためることなく健康的に減らせる体脂肪は1週間で500gくらいと言われているので、ここでは仮に500gをダイエットの限界値としてお話していきます。

その減らしたい体脂肪500gはだいたい3600kcalと言われています。消費カロリーが摂取カロリーを上回るとやせていきますが、今回のトレーニングメニューは約300kcalなので、週に12回分行うと500gやせる計算になります。ただし、初心者の方は体力的には週2回くらいが限度かと思います。

そうすると運動では週に600kcalの消費になるので、残り約3000kcal分は摂取カロリーを減らすことになります。

あくまで週に500g減量する場合のお話ですが、簡単に計算しただけも、運動だけでやせるのは難しいのは分かっていただけると思います。

健康的にやせるためにはトレーニングと食事のバランスが必須です。トレーニングに偏ると故障の心配がありますし、食事制限しすぎると活力が失われていきます。どちらか片方に偏っていかないように、急激なダイエットはせず、じっくり取り組むのがいいと思います」

●取材協力:伊藤 透さん(株式会社アイワークス 代表)
サイクリストやトライアスリートを対象にトレーニング指導を行うトレーナー。自身も海外でのロードレース活動の経験を持つ。現在は名古屋を中心にトレーニングジムやサイクリングスクールの運営を行う。
ホームページ ORCA CYCLING SCHOOL

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この記事を書いた人

橋本謙司のアバター 橋本謙司 株式会社 BIKE & RUN 代表取締役

自転車メディアの立場として活動を続ける自転車ジャーナリスト。
国内外、様々な自転車イベントを実走取材する。また、自身も強豪アマチュアレーサーとして国内外のヒルクライムやロードレースに参加し、優勝・入賞経験がある。
一方で、全国各地のサイクルツーリズムの施策のお手伝いや広報活動に取り組む。日向涼子とともに「じてんしゃと泊まる宿」を4回刊行。
スポーツサイクル全般に関わるジャーナリストとして、専門誌や専門WEB媒体での撮影・ライティングを行いながら、ムービー制作(動画撮影・動画編集)も手掛ける。

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